- 実績: 九州大学工学部 建築学科4年 | ベンチャー中心の就活。12月にビジネス職(コンサル・事業開発)内定
- 資格: 宅地建物取引士、FP2級取得済み
- 一言: 「建築で培った構造化思考で、就活を最短ルートで攻略する戦略を発信しています。」
【実録】「10年で100億」の壁。delyインターンで学んだ事業設計のリアルと手触り感

就職活動において、インターンシップは自身の現在地を測る重要な試金石です。
毎日遅くまで企業や市場の分析に打ち込むあなたの努力は、確実に未来の糧となります。
しかし、どれだけ事前準備を重ねても、現場のリアルな空気の中でしか得られない痛烈な気づきがあります。
今回は、私がdely(現クラシル)の事業開発インターンで直面した、ある「手痛い失敗」についてお話しします。
それは、自分の頭の中で描いた綺麗なプランが、現実のチームワークの前に音を立てて崩れ去った経験です。
今の努力を無駄にしないために、私の失敗談を通じて、あなたの「設計図」を少しだけアップデートするヒントをお渡しします。
約3分で、あなたの戦略をより強固なものへと組み替えましょう。
- 机上の空論を抜け出すための「手触り感」の重要性
- 勝機と「個人の面白さ」が衝突した時の判断基準
- 失敗を自己効力感に変え、次の挑戦へ繋げる思考法
課題は「10年で売上100億円」。AIが生み出した空虚なアイデア
今回のインターンで提示された課題は、「10年で売上100億円を達成する新規事業を立案せよ」という非常にスケールの大きなものでした。
会社からはAIツールの使用が全面的に許可されていたため、私はこれを最大限に活用してプランを練り上げました。
AIを駆使して市場規模を弾き出し、競合優位性を定義し、いかにもスケールしそうなプラットフォーム構想を組み上げたのです。
画面上で見る限り、論理の破綻はなく、100億円という目標から逆算された完璧なビジネスモデルの設計図が完成したと確信していました。
しかし、そこには決定的な落とし穴が潜んでいました。
数字とロジックを積み上げることに熱中するあまり、ユーザーのリアルな感情や、現場の泥臭い課題に向き合う工程を完全に飛ばしていたのです。
出来上がったのは、誰も傷つかない代わりに誰の心も動かさない、徹底的に「手触り感」が欠如した空虚なアイデアでした。
建築脳が描いたパースの美しさ
私はチームでアイデアを出す際、ある「案A」に執着しました。
それは、「身体的・精神的な差異による相互理解の断絶を埋める」というプラットフォーム案でした。
性別や体質の違いから生じる、どうしても埋められない「痛み」や「違和感」。
テクノロジーの力でパートナー同士の理解を深め、より円滑で深い人間関係を築けるようにする――。
脳内に見えていた「パース」の正体
その時、私の脳内にはきれいなパースが見えていました。
- 空間
-
陽の光が差し込む、穏やかなリビングのようなコミュニティ。
- 光景
-
これまで互いに抱えていた「不可解な衝突」や「諦め」が解消された瞬間。
- 笑顔
-
大切な人と、ありのままの姿で笑い合っている人々。
「この社会課題を解決することは、今の日本において何よりも価値があるはずだ。」
私は、自分が設計課題で培ってきた「人間の機微への洞察」が、ビジネスの世界でもそのまま通用すると確信していました。
しかし、その純粋な「善意」こそが、私を盲目にする猛毒だったのです。
【実録】中間メンタリングの衝撃。綺麗すぎるロジックが崩れた瞬間
自信満々で臨んだ中間メンタリングの時間。
私はAIで精緻に作り上げた資料をもとに、市場の優位性や収益モデルを理路整然とプレゼンしました。
しかし、現場の最前線で事業を創り続けているメンターからのフィードバックは、私の予想を完全に打ち砕くものでした。
「ロジックは綺麗に組まれている。でも、これを使って本当にユーザーが喜ぶ顔が想像できる?」
「100億という数字を作るためのパズルになっていて、事業としての『手触り感』が全くないよね」
この言葉に、私は頭を殴られたような衝撃を受けました。
どれだけ美しい構造化や仕組み化を行っても、その根底に「生身の人間が抱えるリアルな課題」がなければ、ビジネスとしては成立しません。
頭の中だけで完結していた私の設計図は、プロの圧倒的な解像度の前にあっけなく崩れ去ったのです。
勝機より「面白さ」を優先し、チームが崩壊した日
最強の武器(栄養士の知見)を活かせなかった設計ミス
メンターからの指摘を受け、私たちのチームは大きな岐路に立たされました。
実は、チームには「栄養士」の資格を持つ優秀なメンバーがいました。
食やレシピの領域を扱うdelyにおいて、現場のリアルな知識を持つ彼女の存在は、間違いなくチーム最大の「勝ち筋」でした。
彼女の知見を軸に事業を再設計し直せば、地に足の着いた、説得力のある提案ができたはずです。
しかし、私はその最も確実なルートを選ぶことができませんでした。
無理な軌道修正が招いた、歯車の掛け違い
栄養士の知見をストレートに活かす手堅いプランに対し、私は直感的に「それでは面白くない」と感じてしまったのです。
「たしかに正解かもしれない。でも、それだと想定の範囲内すぎる。もっとエッジの効いたアイデアでなければ、100億円というスケールには届かないのではないか?」
この個人的な焦りと主観が、チーム全体の判断を狂わせていきます。
私は確実な勝機を脇に置き、自分が「面白い」と感じる奇をてらった方向へ、無理やりプランの軌道修正を図りました。
結果として、チーム内で目標に対する認識のズレが生じ、役割分担は曖昧になり、議論は完全に宙に浮いてしまいました。
個人の熱量と、チームとしての最適解を履き違えたことによる、完全な「設計ミス」です。
本来噛み合うはずだった歯車は外れ、私たちは軌道修正できないまま最終発表を迎えることになってしまいました。
チームの崩壊と沈黙
メンタリング後、チームの雰囲気は最悪でした。
私が自分の案に執着し続け、メンバーの「数字に基づく正論」を拒絶したことで、チームは方向性を見失っていました。
迫りくるタイムリミット
最終日の朝。時計の針は止まりません。
焦った私たちは、収益シミュレーションを急いで作り直そうとしましたが、土台のロジックが崩壊しているため、計算が何度やっても合いません。
- 収益シミュレーションは穴だらけ。
- プレゼン資料は下書きレベル。
- なぜ100億いくのか、というロジックは崩壊。
「……間に合わない。」
壇上に立てない屈辱
提出期限。私たちのフォルダには、白紙に近いスライドと、整合性の取れない数字の羅列が残されました。
「選考対象外」
プレゼンの壇上に立つもまともな事業計画書が出せない、他のチームが華々しく発表する姿を、私たちは眺めることしかできませんでした。
他のチームは厳しい質問攻めに遭っていましたが、私たちはその土俵にすら上がれなかったのです。
ホテルでの夜。赤裸々な反省と「次への設計図」
何がダメだったのか、これからどうするべきか
すべてが終わった後、インターンの宿泊先であるホテルで、チームメンバーと夜遅くまで話し合いました。
感情的に落ち込むのではなく、「なぜ私たちのチームは機能しなかったのか」を冷静に言語化する時間です。
そこで浮き彫りになったのは、個人の能力不足ではなく、チームを動かすための「仕組み」が圧倒的に欠如していたという事実でした。
この夜の反省を経て、私は今後のチーム作業において、以下のプロセスを真っ先に組み込むと決めました。
属人的な強み(今回で言えば栄養士の知見)をチーム全員で共有し、それを最大化することを第一目標に据える。
「面白いかどうか」という個人の感情ではなく、「課題解決に繋がるか」というゴールから逆算してアクションを決定する。
AIやネットのデータだけで完結させず、必ず「これは現場で本当に機能するか?」と立ち止まって問うプロセスを設ける。
ただ失敗を嘆くのではなく、こうして課題を構造化し直すことで、私の中に確かな主体性が戻ってくるのを感じました。
面接では「語らなかった」教訓
この敗北の経験を、私はその後の就活の面接で語ることはしませんでした。
その代わり、私の行動(OS)は劇的に変わりました。
その後に参加した別のインターンや、グループディスカッション。 私は、自分の意見が「社会的意義」に偏りそうになるたびに、脳内でもう一人の自分に問いかけるようになりました。
- 感情論になっていないか?
「かわいそうだから」「必要だから」という言葉禁止。数字で語れ。 - 反対側の「経済」を見ているか?
意義があるのはわかった。で、誰がいくら払う?競合のIRは何を語っている? - 自分を過信していないか?
自分の直感は間違っているかもしれない。周りの「ビジネス脳」の意見を、一度飲み込んで咀嚼する。
意見を述べるときは、必ず「両面(社会性と経済性)」から考える。 自分の長所である「想いの強さ」が、悪い影響を与えないように、常に客観的な視点で自分を監視する。
この「自己否定のプロセス」を組み込めたこと。
この「客観視」の手法については、こちらの記事で「仮説思考」として詳しく解説しています。
まとめ:反省を「加速装置」に変え、可能性を拡張する
インターンでの敗北は、決して消し去りたい過去ではありません。
自分の現在地を知り、足りないパーツを明確にしてくれた貴重なデータです。
どんなに優秀な人でも、最初から完璧な設計図を描けるわけではありません。
大切なのは、壁にぶつかった時にその事実から逃げず、解像度を上げて仕組み化し直すことです。
その痛みを伴うプロセスこそが、あなたの自己効力感を高め、次の挑戦へと向かうための強力な「加速装置」になります。
もし今、あなたが就職活動やプロジェクトで思い通りにいかず悩んでいるなら、一度立ち止まって「設計図」を見直してみてください。
戦略さえあれば、現状は必ず突破できます。
失敗というデータを味方につけ、あなたの人生の可能性を、どこまでも拡張していきましょう。
私が建築学科から『ビジネス職』の内定を勝ち取った戦略のすべて
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